12月の初め、会社の同僚が「今年もふるさと納税やった?」と聞いてきました。答えられなかった人は、案外多いはずです。仕組みは知っているけれど、何から始めればいいのか分からない。そんな状態のまま年末を迎える人を、何人も見てきました。
ふるさと納税は、手順を知れば決して難しくありません。順番に追っていきます。
ふるさと納税、そもそも何をする制度なのか
ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付をして、その金額のほとんどが翌年の税金から差し引かれる制度です。実質的な負担は少額にとどまり、寄付した自治体からは返礼品が届きます。
しくみはこうです。寄付をすると、寄付金の一部を除いた金額が、所得税の還付や住民税の減額として戻ってきます。差し引かれるタイミングは寄付した年の翌年です。今年寄付したお金が、来年の税金に反映される。この「時間差」が、最初に混乱しやすいポイントです。
たとえば10月に3万円を寄付したとします。返礼品は数週間から数か月のうちに届きますが、税金への反映は翌年の6月以降の住民税から少しずつ、という形になります。寄付した実感と、控除される実感がずれるのは、この制度の特徴です。
ここで迷いやすいのが、「寄付した分がすべて戻るわけではない」という点です。負担する金額は寄付額よりも少なくなりますが、ゼロにはなりません。この負担額は年によって、また制度の見直しによって変わることがあります。始める前に、必ず最新の情報を確認しておくべきところです。
寄付先と金額はどう決める?
寄付先は好きに選べます。ただし、控除を受けられる金額には上限があり、この上限は年収や家族構成、他の控除の有無によって変わります。
上限を超えて寄付をしても、超えた部分は単純な自己負担になります。だからこそ、寄付をする前に自分の上限額を把握しておく必要があります。多くのふるさと納税サイトには、年収などを入力すると目安額を計算してくれるページがあります。まずはそこで大まかな数字をつかむのが現実的です。
場面を想像してみます。年収500万円、独身、会社員というだけの人と、同じ年収で配偶者と子どもがいる人とでは、上限額はまったく違います。扶養家族が増えるほど、控除できる上限は下がっていく傾向にあります。ここは「年収だけ見て決める」と失敗しやすいところです。
迷いやすいのは、年の途中で転職したり、大きな医療費控除を受ける予定があったりする場合です。こうした変動要素があると、計算サイトの目安がずれることがあります。上限ぎりぎりまで寄付するのではなく、少し余裕を持たせておくほうが安全です。私自身、ここは「攻めすぎない」のが実務的な判断だと感じています。
申し込みから寄付完了までの道のり
上限額のイメージができたら、実際に寄付先を選んで申し込みます。この段階はオンラインショッピングに近く、迷うことは少ないはずです。
手順としては、寄付先の自治体か返礼品を選び、寄付金額を入力し、決済を済ませる。これで申し込みは完了します。決済はクレジットカードが使えることが多く、その場で受領証明の電子データが発行される場合もあります。
ある会社員のケースを考えます。12月28日の夜、慌ててスマートフォンでいくつかの自治体に寄付を申し込みました。年内に寄付を完了させれば、その年の寄付として扱われます。決済が完了した時点が基準になるため、申し込みのタイミングには注意が必要です。年末は申し込みが集中し、サイトが混み合うこともあります。
ここで気をつけたいのは、「寄付する人」と「控除を受ける人」の名義が一致していないと、控除が受けられない点です。夫婦のどちらか一方の所得で家計を支えている場合、寄付は所得のある側の名義で行う必要があります。うっかり家族の名前で申し込んでしまうと、控除が受けられなくなるケースがあるので、申し込み画面の氏名欄は必ず確認してください。
返礼品が手元に届くまで
寄付が完了すると、返礼品は後日届きます。届くまでの期間は自治体や品物によって大きく差があります。
これは、返礼品を用意する側の事情によるものです。米や野菜のように収穫時期に合わせて発送する品物は、寄付した季節と収穫の季節が合わないと、数か月待つこともあります。一方、加工食品や日用品のように在庫を持っている品物は、比較的早く届く傾向にあります。
実際に、9月に果物の返礼品を選んだところ、届いたのは翌年1月だったという例もあります。寄付したときに「◯月頃発送予定」という表示が出ていることが多いので、そこは申し込み前に確認しておくと安心です。年末に急いで寄付をして、「クリスマスに食べたかったのに届かない」と焦る人も少なくありません。
例外として、人気の返礼品は数量に限りがあり、寄付を受け付けていても発送まで長く待たされることがあります。また、災害や生産状況によって発送が遅れる場合もあります。届く時期を最優先で考えるなら、発送スケジュールが明記されている品物を選ぶのが確実です。
控除を受けるための最後の一手
返礼品を受け取っただけでは、控除は自動的には受けられません。ここで手続きを忘れると、寄付をしただけで終わってしまいます。
手続きには二つの方法があります。ひとつは「ワンストップ特例制度」で、寄付先の自治体数が一定以内で、確定申告をしない人が使えます。申請書と本人確認書類を、寄付した自治体それぞれに送るだけで済みます。もうひとつは確定申告で、寄付先の数が多い場合や、もともと確定申告が必要な人はこちらを使います。
場面を挙げます。フリーランスとして働く人が5つの自治体に寄付をしたとします。もともと確定申告が必要な立場なので、ワンストップ特例は使えません。確定申告書に寄付金控除の欄があり、そこに寄付額と自治体名を記入して申告することになります。
迷いやすいのは、ワンストップ特例の申請書を送ったあとに、別の理由で確定申告が必要になった場合です。この場合、ワンストップ特例の申請は無効になり、確定申告のほうで寄付金控除を申告し直す必要があります。両方をそのままにしておくと、控除が反映されなかったり、逆に不整合が起きたりします。申請書を送ったかどうか、送り先ごとに記録を残しておくと、あとで慌てずに済みます。手続きの期限や方法は制度の見直しで変わることがあるため、申請前に自治体からの案内を確認しておくのが確実です。

